今週分(2月7日~13日投稿分)は7編です。
2月13日
#twnovel 結婚して一度も一緒に風呂に入ってくれなかった妻を温泉旅行に誘った。蔵王はスキー客で賑わっていた。夜になり内風呂に誘うが妻はやはり拒否した。それでも強引に誘うと「少しだけ」と浴衣を脱ぐ。躊躇した妻の白い脚がお湯に浸かると一気に湯気。気づくと後にはただ小さな雪の塊。
2月12日
#twnovel 箱庭に置いた家族の人形を動かすと先生が「駄目だ」と注意した。でも今家にいるのは母親だけなの。「駄目だ。家族は一緒にいるものだろ」そう言って人形を元に戻した先生が出て行くと、私は再び人形を動かした。「つまり彼女は目撃したのだ。その時家にいた母親とオルグ医師の姿を」
2月11日
#twnovel 熱い鉄板の上ではそれが湯気を上げていた。手早いコテ捌きでくるりと返すと、上面にどろソースが塗られ、上からマヨネーズのラインが縞模様に流れる。「出来たよ、お祖父ちゃん」もう潰すしか無いと思っていた店で今、孫がお好み焼きを焼いてくれている。ただそれだけで涙が滲んだ。
2月10日
#twnovel Yo、Yo、お前はYo、本当は夢なんてありゃしねYo、ただ飯食えりゃ幸せだYo、働かない、勉強しない、それでも何かは持ってると思ってんだYo、この厳しい現代社会を生き抜く術は、俺自身にあるんだYo ……「聞こえた? あれねうちのラップ音。息子とかね、いないから」
2月9日
#twnovel それは紛れも無く事件だった。「私が殺しました」ただ遺体が無かっただけで。「私がやったんです」だが男の供述から推測された場所を調べてみると確かにそこにはそれが有ったとされる痕跡が見つかった。「本当にやったのか?」「はい、私が殺しました……日本という国を」「元首相」
2月8日
#twnovel 「髭剃りだけ頼む」それは毎月来る常連で、皮のジャケットを着込み男っぽいが髪は腰に届きそうに長く、この店ではまず切らない。その彼が「髪を切って下さい」と言った。長い間小さな劇団で女形をやっていたが結婚して就職することになったらしい。私は喜んで彼の髪に鋏を当てた。
2月7日
#twnovel 君は漆黒の液体を湛えたグラスを見せ「これを飲んで死ぬの」と笑う。悪魔を信仰しよう。それが誘い文句で他の大学生とは違う輝きを目に宿していた君。でも本当は何でも良かったと僕は知ってしまった。ただ死にたかっただけなんだ。その液体を飲み共に……。それは苦いチョコレイト。
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