140字という短い中でどんなものが表現出来るのか。ある程度読む楽しみも欲しいし、という模索の中です。
今週分(1月31日~2月6日投稿分)は7編です。
2月6日
#twnovel 「何と今回は更に腋毛吸着パッドも付けて3980円の特別価格で!」通販番組を見ていたら彼女から電話。「今やってた美容セット欲しいのん」彼女は買えとは言わない。もういい加減そんな付き合い止めようかと思うけど、またこうして電話してしまう。「あ、俺のと合わせて二人分を」
2月5日
#twnovel 妻は今隣室でコーヒーを淹れている。絶対に覗くなと言われたが、四十も歳の離れた妻のエプロン姿というのはどうにも抗いがたい魅力がある。そっとドアを開けると、そこには何か薬を入れている妻が。「あなた、何見てるんです!」「わしは」だがよく見ればその箱には「バイアグラ」。
2月4日
#twnovel 酒蔵の中の秘密は幼い頃から私の憧れで、けど頑固で古臭い父は女人禁制を頑なに守って近づけようともしなかった。昨日で二十歳になったけれど、杜氏になりたいと言う私に父はおめでとうも言わない。その私を今日、父が初めて酒蔵に呼んだ。「これが二十年前、お前の為に作った酒だ」
2月3日
#twnovel 節分だから豆を撒こうとしたら外から泣き声が聴こえた。見れば鬼の子。その泣き顔に私は手にしていた豆を袋に戻して「中、入るか?」「でも僕、鬼だよ?」「悪さしなきゃ、いいよ」そう言うと鬼の子も笑った。……だからうちじゃ「福は外」って豆撒くんだよ。「だから貧乏なの?」
2月2日
#twnovel 彼に貰った鉢から遂に芽は出なかった。水が少なかったのか、日の当て方か。春が来れば出ると言った彼とは春まで続かず。だからせめてこの花だけでも咲かそうと思ったのに、芽は出なかった。四月になって転勤した彼から一通の葉書が届く。「ごめん。あの鉢、種が無かったんだって」
2月1日
#twnovel 「もう別れよ?」「いいよ」「どうしてよ。否定してよ。そんな分かった風なこと言わないでよ」彼女は泣きながら部屋を出て行った。それは最初から分かっていた。この運命の書を拾った時から。僕はその本を燃やす。もう必要無いからだ。その火は広がり、カーテンが真っ赤になった。
1月31日
#twnovel 息子が雪が降るにも関わらず外に出て行った。いつもは寒くて炬燵から出ないのに。手にした小さなスコップで庭先の雪かきをしていた。でも息子よ、そこは誰も歩かないの。だがよく見ればその山は小さなカマクラだった。その中には昨日作った小さな雪だるま。「これで寒くないでしょ」
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