色々と模索しておりますが、なかなかみなさまに気に入ってもらえるもの、というと難しゅうございますね。
今週分(1月17日~23日投稿分)は番外編を合わせて9編です。
1月23日
#twnovel 私は一番最初に部屋に入りチェロの調弦をする。何かにつけ不器用だ。「10Hzズレてる」そう指摘した美鈴は「分からない」と言う私からチェロを取り上げ、ささっと調弦。「それ嫌味?」「違う。気持ち悪くて」「そうやって優越感に浸ればいいわよ」「違う……あの、友達になって」
1月22日
#twnovel 「嘘」そう言って私は部屋を飛び出した。だって将来を誓った翌日に浮気相手と一緒とか有り得ないし、何よりそんな私を許せなかった。だから私は包丁を手首に当てて……。床に流れた血の赤を見て、漸く私自身が愚かだって気づいたの。「……っていう嘘つこうと思うんだけど」「え?」
1月21日
#twnovel 「デートの約束すっぽかしてパチスロ。二人で歩いてても他の女に声かけてへらへら。仕事は直ぐに辞めて、その癖いつも宝くじ当てるみたいなこと言っててさ。好きって言ってくれるのはベッドの中だけ。手料理を美味しいとも言わないの」「だったら僕が」「でもね、お前が一番だって」
1月20日
#twnovel 娘の人形遊びにはいつも母親役がいなかった。父親も、祖父母も、ペットの犬ですらちゃんといるのに、何故か母親だけ。だから私は何度と無く夫や義父母に尋ねたが返事は無い。所詮違う血筋。仕方無く人形遊びをしている娘に尋ねる。「何故かしら?」「だってお母さん、死んでるから」
1月19日
#twnovel 扉一枚を挟んだ向こう側、彼女が泣いていた。僕はその扉を開ける鍵を落としてしまい、開けてくれと懇願する。でも彼女は「貴方は何も分かってないのね」て。僕はいつも扉を叩くだけの能無しだ。不意に扉が開く。「最初から鍵なんて掛かってない。貴方はいつも開けようとしないだけ」
1月18日(番外編)
名前
#twnovel 「ねえおかあさん。雪ってなんで雪っていうの?」「それは春になるとどこかに行ってしまうでしょ。だから「ゆく」の「ゆき」なの」「じゃあぼくは一番になるようにイチローなの?」「そ、そうね……」実はイチローはイチローでも十六夜の一六だとは言えなかった。
1月18日
#twnovel 彼女がもう歳をとりたくないと懇願したから、私はそれを叶えてやった。なのに彼女は私を罵倒して地下室に引き籠ってしまった。あれからもう五十年。そろそろ彼女の怒りが収まったかと見に行ってみれば、まだ鏡を見て泣いている。「こんなお婆さんのままで生き続けてどうするのよ!」
1月17日(番外編)
16年
#twnovel 1年目、何が起こったか分からなかった。2年目、事実と理解した。3年目、漸く涙。4年目、見たくなかった。5年目。6年目。7年目。8年目。9年目、私は。10年目、その地を訪れた。11、12、13、14、15年目、知り合いが増えた。16年目、新しい命が宿った。
1月17日
#twnovel 真夜中を過ぎるとシンデレラは本性を表す。王子は女の色香に翻弄され、夢心地の一晩を過ごす。けれど朝になればそれは夢幻と気づいて落胆。だからその夢をもう一度とガラスの靴をプレゼント。靴を受け取ったシンデレラはまた一時の夢を与えてくれる。こうしてまた、男は老けてゆく。
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