3月14日~20日までのツイノベです。
3月20日
#twnovel 雪が止むよ。君が言った。見上げた空からはどんどん白い粒が消えて、私の鼻頭に載った最後の一片で失くなる。その一片を君は手に取って舐める。別に自分じゃ無いのに何だか照れて俯いたら、君は「結婚しよ」と。私の顔はたぶん真っ赤で、だから「桜が満開になったらね」と答えた。
3月19日
#twnovel ずっと今朝もむくれていた父は見送りには出て来ない。「いいよ。東京着いたら連絡するわ」母も祖父母も弟妹も散々あれこれ気を付けろ、都会は危ないだ言うけど、もう耳に蛸だ。「じゃ行くわ」その時、空から紙飛行機が下りてきた。それを開くと「行くんだから絶対帰ってこいよ。父」
3月18日
#twnovel 「何を待ってるの?」「昔の仲間さ」そう言って彼は白髪交じりの眉を優しく曲げる。昔は無茶した彼も今や十人の孫のいるお爺さん。「来た」そう言った彼の視線の先にはカラフルな服を着たバイク乗り達。「片付けてくるよ」彼はこれからあの危険な地に向かう。かつての戦隊ヒーロー。
3月17日
#twnovel いつも泣いてばかりの君がいた。だから僕はいつも笑った。不謹慎だと君は怒った。だから不謹慎に僕は笑った。訳が分からないと君は泣いて、訳が分からないから僕は笑って、あなたが嫌いと君は泣き、君が好きと僕は笑う。「本当に馬鹿」だからそう言う君と僕は馬鹿に笑った。
3月16日
#twnovel 泣いている女の子がいた。知らない子。でもここは他人ばかりだから気にしない。「ねえ、空を見上げてみて」彼女は分からずに上を向いた。空には雲間から青が見える。「綺麗だね。あれをさ、きっとお母さんたちも見てるよ、どこかで」「あ!」その子が指差す。それは一羽の鳥だった。
3月15日
#twnovel 順子ちゃんが部屋の隅で毛布かぶって震えていた。暖房つければいいのに。でも僕はそんなこと言えないから、ただ傍に寄り添う。「節電してるんだ。この電気が誰かを助けてくれたらって」僕は思う。それなら僕が順子ちゃんの暖房になろう。「ありがとねルーク」ぼくはミャアと答えた。
3月14日
#twnovel 今日は3月14日。ホワイトディ。なのに僕は全てを失い、君に送れるものが何も無い。「何言ってんのよ」隣で寄り添う妻が笑う。「あなたはちゃんと私にくれたわよ?」家も金も全て失った僕に彼女はこう言った。「無事、っていうありがとうを、私にちゃんとくれたじゃないの」
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