3月28日~4月3日投稿分のツイノベです。
4月3日
#twnovel 新学年になっても僕と彼女の距離は変わらなかった。同じ教室の中、窓際の彼女、廊下側の僕。それを縮める為の「す」から始まる言葉を僕は未だ言えずにいる。夕陽に染まる教室、忘れ物を取りに来た彼女と目が合う。今しかない。僕は勇気を声に変えた。「水魚の交わりって知ってる?」
4月2日
#twnovel よくここで転び泣いた彼女。初恋の恋文は届かず、初デートの時キスを失敗して唇を切った。卒業式後に親友と真っ暗になるまで話していたね。大学から帰った君は髪を切って印象が変わっていた。今、スーツ姿の君は久しぶりに僕を見上げ「いってきます」。僕はぽっと桜色の花を開いた。
4月1日
#twnovel 今日は嘘をつかないと死刑になる日らしい。そんな日に式の予行演習したいとか馬鹿か。「さ、永遠の愛を誓って」「誓う」「あ、嘘」「いや本当だって」「それも嘘」「あのな」「私は圭のこと嫌いだよ」「だから今日嘘をついたら死刑になるから俺は」「それ、嘘」「どれのことだよ?」
3月31日
#twnovel 踏み切りで立ち止まり隣を見ると、死神が立っていた。「殺すのか?」「もう死にかけている。それを迎えに行くだけだ」俺は病院で待つ彼女の名を告げる。「そうだ」と死神。「代わりに俺が死ねば?」死神は笑うだけだ。俺が線路に飛び込もうとした時、携帯が鳴った。彼女からだった。
3月30日
#twnovel 画面の中で大人たちが激しく罵り合う。それは誰かを助ける為じゃ無く、互いの利権や立場を守る為の言い訳。まだ低学年の弟はぎゅっと手を握り「ケンカいくない」と言う。また携帯電話が鳴る。でも「ケンカいくない」と弟は繰り返す。俺は携帯の電源を切り「飯でも食うか」と笑った。
3月29日
#twnovel 朝靄漂う玄関前、わたしは冷たい手を擦り合わせる。小鳥が鳴いて羽ばたき、角の煙草屋のメルは遠吠え。牛乳屋の軽トラが背に載せたビンをちゃかちゃかいわせて通り過ぎる。そんな中、ほ、ほ、ほと規則正しい呼吸。彼が来た。懐から新聞を取り出して「おはよう」素敵な一日の始まり。
3月28日
#twnovel この気持ちに気づいて欲しい。でも簡単に口に出来無いから何とかこの視線で彼に分かって欲しいの。けどその努力は怪訝な彼の表情に掻き消される。だから小さく唇を動かしてみた。「何だよ?」今にも怒り出しそうな彼。電車の中で立ち上がる彼。「ごめんなさい。でもあなたの社会のま
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