3月21日~27日までのツイノベです。
3月27日
#twnovel 「引っ掛かる方が悪いんだ」くすねたキャッシュカードで全額を引き出した俺は、それをゴミ箱に投げ捨てる。気付けば詐欺師という商売に染まっていた。そんな俺も家に戻れば新婚一カ月の夫。「ただいま」だがマンションはもぬけの殻。そして床には離婚届と「全額頂きました」のメモ。
3月26日
#twnovel 真っ黒に塗りたくった画用紙に君は色の付いた砂を撒いていた。画用紙は色とりどりの砂で満たされ黒は殆ど消える。君は「見てな」と笑ってそれを吹く。部屋が汚れるのも気にせず沢山宙に舞う砂はキラキラとして綺麗だ。「ほら」画用紙には星空が広がり、「愛」の字が浮かんでいた。
3月25日
#twnovel 相変わらず下手ね、と妻は暴投で僕を走らせておいて笑う。それでも「ごめん」と謝る僕も笑顔だ。学生時代に野球部マネージャーの彼女。諦めかけた僕に「キャッチボールしよ」と笑ってくれた彼女のお陰で、今は草野球チームのエースだ。「ねえ、もう一つグローブ買う? 小さいの」
3月24日
#twnovel 明け方に点けたラジオから聴こえてきた歌声は、昔彼女と二人でライブに行った歌手のヒット曲だった。あの頃夢中だった曲はいつしか懐メロになり、思い出という箱の中に仕舞われている。久しぶりに聴いてみようかなと物置を探していると、見つけたのは今の嫁に送った自作曲の楽譜。
3月23日
#twnovel 近所の佐伯由利が結婚したと聞いた。たぶん綺麗な花嫁姿だったろう。「いつまでも変わらないよ」そう言った彼女は子供の頃の夢の通りケーキ屋で働き結婚して、再来年辺りには子供を生むのだろう。バイト雑誌を投げ出し、携帯電話。あの頃と変わらない「おめでとう」は言えないけど。
3月22日
#twnovel ライブのチケットを貰った。でもそれにYesと答える事は彼の気持ちに応える事のような気がして、開始二時間前になっても家を出られずにいる。それは恋かと訊ねる自分に違うと答え、嫌いなのと訊く自分にはそうじゃ無いと答える。「こい」というメイルに私は「あいは?」と返した。
3月21日
#twnovel 実家で荷物を片付けていたら途中で諦めたRPGゲームが出て来た。レベル上げが苦痛で放り出したそれを、大学卒業しようという今になってやってみる。ちゃちな画面と音が懐かしくて、でもあっさりラスボス倒してエンディングもちゃちで。「なあ母さん。俺もうちょい就職頑張るわ」
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