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凪司工房の徒然

お知らせ・小説・ツイノベ・随筆・エッセイなど

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2月14日~2月20日までのTwitter Novel

 今週分(2月14日~20日投稿分)は所用の為に1日お休みで6編です。


2月20日
#twnovel リコとタケルが結婚したと聞いた。二年半の遠距離を成就させたらしい。学生時代、俺は二人の手紙の運び屋だった。文通で恋愛もどうかと思ったがそれが二人にとって良い距離感だったのかも知れない。ただ二人は知らない。最初の手紙の中の「嫌い」を全て「好き」に書き直したことを。


2月19日
#twnovel 子供たちに将来の夢という作文を書かせたら「会社員」とか味気ないものばかり。結局他の教師と同じく夢を与えられていなかったのか。自分のはどうだったろうと探すと出てきたそれは「会社員」。がっかりだ。でもよく読むとそれは奥さんや子供に夢を持たせてやれるような会社員、て。


2月18日
#twnovel ついさっき生まれたと思ったらもう車に乗っていた。と思ったら隣に彼女が居ていつの間にか結婚式まで終わってる。後部座席には子供が三人。子供手当てが沢山貰えると思ったら事業失敗で一家離散のホームレス。そこから必死に這い上がっていたら「ご飯よ!」こんなものさ人生ゲーム。


2月17日
#twnovel 横断歩道を渡る不意に、背中ばかり歩いていると気づいた。まだ手を引かれていたあの日、父が分からなくなったあの日、どの背中を探せばいいか分かなかったあの日。僕は何て言えば良かったのか。「父ちゃん」後ろから息子の声。振り返るとほっとした顔だ。ああ、これで良かったんだ。


2月16日
#twnovel 「ねえ。君はいつ少年じゃ無くなったの?」麻美は問う。「いつ僕じゃ無くなったの?」かつて自分の後ろで泣いていた男の子は今、リングに立っている。殴られてももう泣かない。でも「健司の馬鹿」って言うと照れ臭そうに「うっせ」て答える。「健司の馬鹿」それに応えて彼は立った。


2月14日
#twnovel 朝、インタフォンを押すと彼が出た。それは私の賭けだった。「三浦さん」「これ」リボン付きの小さな箱は中身が溶けそうな程熱い。それを受け取る彼は複雑な表情。分かってる。「三浦さん俺」私は走って逃げ出す。十五年前と違うのはチョコを渡せたことと、彼には奥さんがいること。

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2月7日~2月13日までのTwitter Novel

 今週分(2月7日~13日投稿分)は7編です。


2月13日
#twnovel 結婚して一度も一緒に風呂に入ってくれなかった妻を温泉旅行に誘った。蔵王はスキー客で賑わっていた。夜になり内風呂に誘うが妻はやはり拒否した。それでも強引に誘うと「少しだけ」と浴衣を脱ぐ。躊躇した妻の白い脚がお湯に浸かると一気に湯気。気づくと後にはただ小さな雪の塊。


2月12日
#twnovel 箱庭に置いた家族の人形を動かすと先生が「駄目だ」と注意した。でも今家にいるのは母親だけなの。「駄目だ。家族は一緒にいるものだろ」そう言って人形を元に戻した先生が出て行くと、私は再び人形を動かした。「つまり彼女は目撃したのだ。その時家にいた母親とオルグ医師の姿を」


2月11日
#twnovel 熱い鉄板の上ではそれが湯気を上げていた。手早いコテ捌きでくるりと返すと、上面にどろソースが塗られ、上からマヨネーズのラインが縞模様に流れる。「出来たよ、お祖父ちゃん」もう潰すしか無いと思っていた店で今、孫がお好み焼きを焼いてくれている。ただそれだけで涙が滲んだ。


2月10日
#twnovel Yo、Yo、お前はYo、本当は夢なんてありゃしねYo、ただ飯食えりゃ幸せだYo、働かない、勉強しない、それでも何かは持ってると思ってんだYo、この厳しい現代社会を生き抜く術は、俺自身にあるんだYo ……「聞こえた? あれねうちのラップ音。息子とかね、いないから」


2月9日
#twnovel それは紛れも無く事件だった。「私が殺しました」ただ遺体が無かっただけで。「私がやったんです」だが男の供述から推測された場所を調べてみると確かにそこにはそれが有ったとされる痕跡が見つかった。「本当にやったのか?」「はい、私が殺しました……日本という国を」「元首相」


2月8日
#twnovel 「髭剃りだけ頼む」それは毎月来る常連で、皮のジャケットを着込み男っぽいが髪は腰に届きそうに長く、この店ではまず切らない。その彼が「髪を切って下さい」と言った。長い間小さな劇団で女形をやっていたが結婚して就職することになったらしい。私は喜んで彼の髪に鋏を当てた。


2月7日
#twnovel 君は漆黒の液体を湛えたグラスを見せ「これを飲んで死ぬの」と笑う。悪魔を信仰しよう。それが誘い文句で他の大学生とは違う輝きを目に宿していた君。でも本当は何でも良かったと僕は知ってしまった。ただ死にたかっただけなんだ。その液体を飲み共に……。それは苦いチョコレイト。

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1月31日~2月6日までのTwitter Novel

 140字という短い中でどんなものが表現出来るのか。ある程度読む楽しみも欲しいし、という模索の中です。
 今週分(1月31日~2月6日投稿分)は7編です。


2月6日
#twnovel 「何と今回は更に腋毛吸着パッドも付けて3980円の特別価格で!」通販番組を見ていたら彼女から電話。「今やってた美容セット欲しいのん」彼女は買えとは言わない。もういい加減そんな付き合い止めようかと思うけど、またこうして電話してしまう。「あ、俺のと合わせて二人分を」


2月5日
#twnovel 妻は今隣室でコーヒーを淹れている。絶対に覗くなと言われたが、四十も歳の離れた妻のエプロン姿というのはどうにも抗いがたい魅力がある。そっとドアを開けると、そこには何か薬を入れている妻が。「あなた、何見てるんです!」「わしは」だがよく見ればその箱には「バイアグラ」。


2月4日
#twnovel 酒蔵の中の秘密は幼い頃から私の憧れで、けど頑固で古臭い父は女人禁制を頑なに守って近づけようともしなかった。昨日で二十歳になったけれど、杜氏になりたいと言う私に父はおめでとうも言わない。その私を今日、父が初めて酒蔵に呼んだ。「これが二十年前、お前の為に作った酒だ」


2月3日
#twnovel 節分だから豆を撒こうとしたら外から泣き声が聴こえた。見れば鬼の子。その泣き顔に私は手にしていた豆を袋に戻して「中、入るか?」「でも僕、鬼だよ?」「悪さしなきゃ、いいよ」そう言うと鬼の子も笑った。……だからうちじゃ「福は外」って豆撒くんだよ。「だから貧乏なの?」


2月2日
#twnovel 彼に貰った鉢から遂に芽は出なかった。水が少なかったのか、日の当て方か。春が来れば出ると言った彼とは春まで続かず。だからせめてこの花だけでも咲かそうと思ったのに、芽は出なかった。四月になって転勤した彼から一通の葉書が届く。「ごめん。あの鉢、種が無かったんだって」


2月1日
#twnovel 「もう別れよ?」「いいよ」「どうしてよ。否定してよ。そんな分かった風なこと言わないでよ」彼女は泣きながら部屋を出て行った。それは最初から分かっていた。この運命の書を拾った時から。僕はその本を燃やす。もう必要無いからだ。その火は広がり、カーテンが真っ赤になった。


1月31日
#twnovel 息子が雪が降るにも関わらず外に出て行った。いつもは寒くて炬燵から出ないのに。手にした小さなスコップで庭先の雪かきをしていた。でも息子よ、そこは誰も歩かないの。だがよく見ればその山は小さなカマクラだった。その中には昨日作った小さな雪だるま。「これで寒くないでしょ」

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1月24日~1月30日までのTwitter Novel

 出来れば140文字の可能性を探っていきたいと思いつつ。

 今週分(1月24日~30日投稿分)は7編です。


1月30日
#twnovel 「なあアコ」僕はどの彼女も「アコ」と呼ぶ。アキコ、アツコ、アミ、アカリ。付き合う相手は必ずアから始まるようにすることで、僕はいつでも「アコ」と付き合えた。だから今の彼女も「アコ」と呼ぶのだが「どうしてちゃんと名前で呼んでくれないのよ」と不機嫌。「ごめん赤穂さん」


1月29日
#twnovel 「課長。新しい食べるシリーズを考案致しました」「ほお。今度は何を食べさせようってのかね」「これです。食べるラード。これからは油の時代です。コラーゲン配合で美容にもよく」「それではまず君が試食したまえ」その三カ月後、彼は入院という名の左遷を味わったのであった。


1月28日
#twnovel どこまでも白。空気まで白い。隣を歩く彼の体温が手袋を通して伝わってくるけど、声を掛けなければそれも消えてしまうんじゃないかと思えた。「ねえ、このまま一緒に眠るの?」「嫌かい?」「そうじゃないけど」どうして瞼に浮かぶのは、彼の顔じゃないんだろう。「下山、しよっか」


1月27日
#twnovel 「だから普通に好きだって」と答えたら彼女に小1時間説教された。別に彼女は普通の仏文学権威を父に持つ有名国立大生で来春からフランス留学を控えているけれど、デートは普通に彼女持ちでレストランだし、夏休みには普通にヨーロッパ旅行を楽しんだ程度の仲。「だから普通に好き」


1月26日
#twnovel 彼に「お前ツンデレ」って言われたけど、私は全然そんな風じゃないし、普段から彼に優しくしてるよ。腕もちゃんと手錠で繋ぐし、餌だって時々は冷凍食品じゃないし、頭を殴るのは彼の笑い所が変だから、無理矢理キスしようとしたら当然抵抗するでしょ? え、好き? な、何言(ry


1月25日
#twnovel 胸を切り開く。もう動かなくなった彼女の心臓はまだ綺麗なピンク。最後まで彼女の気持ちは分からなかった。手術を拒み続けたことも、臓器提供出来ないと泣いた訳も。その心臓にメスを当てる。綺麗な血で一杯になった胸部に、何かが浮かび上がる。それは小指サイズの銀色の虫だった。


1月24日
#twnovel 夜明けを待つこの薄ぼんやりした時間が好きだ。彼の温もりを腕に感じてその優しい瞳を見ていると、どうしてもにやけてしまう。彼は何も言わない。言葉なんて必要無かった。でも気づいた。彼の手。随分と汚れている。私はそれを拭おうとして思わず……もげた。「また縫ってあげるね」

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1月17日~1月23日までのTwitter Novel

 色々と模索しておりますが、なかなかみなさまに気に入ってもらえるもの、というと難しゅうございますね。

 今週分(1月17日~23日投稿分)は番外編を合わせて9編です。


1月23日
#twnovel 私は一番最初に部屋に入りチェロの調弦をする。何かにつけ不器用だ。「10Hzズレてる」そう指摘した美鈴は「分からない」と言う私からチェロを取り上げ、ささっと調弦。「それ嫌味?」「違う。気持ち悪くて」「そうやって優越感に浸ればいいわよ」「違う……あの、友達になって」


1月22日
#twnovel 「嘘」そう言って私は部屋を飛び出した。だって将来を誓った翌日に浮気相手と一緒とか有り得ないし、何よりそんな私を許せなかった。だから私は包丁を手首に当てて……。床に流れた血の赤を見て、漸く私自身が愚かだって気づいたの。「……っていう嘘つこうと思うんだけど」「え?」


1月21日
#twnovel 「デートの約束すっぽかしてパチスロ。二人で歩いてても他の女に声かけてへらへら。仕事は直ぐに辞めて、その癖いつも宝くじ当てるみたいなこと言っててさ。好きって言ってくれるのはベッドの中だけ。手料理を美味しいとも言わないの」「だったら僕が」「でもね、お前が一番だって」


1月20日
#twnovel 娘の人形遊びにはいつも母親役がいなかった。父親も、祖父母も、ペットの犬ですらちゃんといるのに、何故か母親だけ。だから私は何度と無く夫や義父母に尋ねたが返事は無い。所詮違う血筋。仕方無く人形遊びをしている娘に尋ねる。「何故かしら?」「だってお母さん、死んでるから」


1月19日
#twnovel 扉一枚を挟んだ向こう側、彼女が泣いていた。僕はその扉を開ける鍵を落としてしまい、開けてくれと懇願する。でも彼女は「貴方は何も分かってないのね」て。僕はいつも扉を叩くだけの能無しだ。不意に扉が開く。「最初から鍵なんて掛かってない。貴方はいつも開けようとしないだけ」


1月18日(番外編)
名前 #twnovel 「ねえおかあさん。雪ってなんで雪っていうの?」「それは春になるとどこかに行ってしまうでしょ。だから「ゆく」の「ゆき」なの」「じゃあぼくは一番になるようにイチローなの?」「そ、そうね……」実はイチローはイチローでも十六夜の一六だとは言えなかった。


1月18日
#twnovel 彼女がもう歳をとりたくないと懇願したから、私はそれを叶えてやった。なのに彼女は私を罵倒して地下室に引き籠ってしまった。あれからもう五十年。そろそろ彼女の怒りが収まったかと見に行ってみれば、まだ鏡を見て泣いている。「こんなお婆さんのままで生き続けてどうするのよ!」


1月17日(番外編)
16年 #twnovel 1年目、何が起こったか分からなかった。2年目、事実と理解した。3年目、漸く涙。4年目、見たくなかった。5年目。6年目。7年目。8年目。9年目、私は。10年目、その地を訪れた。11、12、13、14、15年目、知り合いが増えた。16年目、新しい命が宿った。


1月17日
#twnovel 真夜中を過ぎるとシンデレラは本性を表す。王子は女の色香に翻弄され、夢心地の一晩を過ごす。けれど朝になればそれは夢幻と気づいて落胆。だからその夢をもう一度とガラスの靴をプレゼント。靴を受け取ったシンデレラはまた一時の夢を与えてくれる。こうしてまた、男は老けてゆく。

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1月10日~1月16日までのTwitter Novel

 ツイノベの今の流行とか、あるのでしょうか? それともやはりショート・ショート風味が人気なのか。

 今週分(1月10日~16日投稿分)は7編です。

1月16日
#twnovel 上に載った雪が重かった。足元には通り掛かった犬が小便を引っ掛け、でも寒いからと途中で止めて行ってしまう。殆ど誰も気にしない。今はそんな存在。けれどいつか沢山の人に囲まれて、その輪の中心に居たい。笑顔の中心に。その雪がすっかり解けて消えた頃。「今年の桜は綺麗だな」


1月15日
#twnovel 試験会場でまさか転校していった初恋の彼女と遭遇するとは思わなかった。向こうは気づいたろうか。友達と笑う彼女は相変わらず美人で、たぶんもう僕のことは忘れていて。だから彼女の試験が上手くいってればいいと、あの日と同じに祈った。帰り際、「高橋君? 明日も頑張ろうね」


1月14日
#twnovel Twitter上で隣のクラスの白石さんへの想いの丈をぶちまけた。フォローしてる誰かから白石さんに届けば。翌朝、心臓バクバクで登校、みんなの視線が不愉快だった。黒板には僕と白石の名が相合傘に収まっている。ただ白石の下に……「ゆーじ」と。同じクラスの白石が照れてた。


1月13日
#twnovel 検索中……。そんな感じで固まった彼。静岡にガンデムとかも見に行ってやったのに、こうしてTwitterだってしてやってるのに、どうしてスキー旅行が駄目なんだよ。「整いました」彼が言う。「美佐枝さんと掛けてスキー旅行と解く。その心は僕を好きーでしょう」上手くないし。


1月12日
#twnovel 君の吐く息は白くて、だから余計に僕の指はかじかむ。それでも届けたいからとギターの弦を掻く。不器用だけど懸命に練習した愛を伝える歌に、君は何か感じたかな。「にゃー」それじゃ分かんねって。一番最初の客だった猫。「あの、ヒロ君。今の」背後で泣いたのは初恋の彼女だった。


1月11日
#twnovel ずっと駆けていた。どこを目指すのか、何の為に駆けるのか分からないまま、それでもよく分からないものに押し出されるように、ただ前を目指した。痛みは己を鼓舞する。見えるのは緑の芝生。それに白い柵。唐突に降ってきたのは人間たちの歓声と、お札のように舞う紙切れたちだった。


1月10日
#twnovel バス停で彼を待つ。成人式で帰ってきた彼は学生時代の読書好きのままだろうか。いつもベンチに座って本を読みながらバス待ち。そこがほんのり温かいのを知っていたのは私だけだ。「ここ、まだ残ってたんだな」彼がベンチに座る。あ。少し逞しくなった彼の臀部。私は仄かに温もった。

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1月3日~1月9日までのTwitter Novel

 140文字のとても短い掌編小説ツイノベ。Discoverが主催するそのツイノベの小説大賞の第2回が行われることになりました。詳しくは下記のHPをご覧下さいませ。

 Discover 第2回 Twitter小説大賞

 今週分(1月3日~9日投稿分)は番外編1編を合わせた8編です。


1月9日
#twnovel 成人式には帰って来いと言われていたのに約束を守らなかった僕に、バイトから帰ると留守番電話の録音が二十件。両親の恨み言かと思ったら0歳からの思い出話。十九歳。大学で元気にしてますか? 僕は直ぐ電話を掛けた。ごめんよ母さん、父さん。「あ、僕。僕だよ」電話を切られた。


1月8日(番外編)
伊達直人 #twnovel また手紙だ。知らない町の施設の子供らだ。どういう訳かランドセルや寄付をして回る「伊達直人」が居るらしく、人違いと知っていても誰もが感謝の手紙を俺の許に送る。もう百通以上返したろうか。いい加減辞めようかと思うが踏ん切りがつかない。「おい68号、手紙だ」


1月8日
#twnovel 彼女と別れた。よく尽くしてくれたけどもう無理って。実家に帰って親の決めた見合い相手と家庭を作るのだろうか。俺は東京で、いつまでギターを鳴らしているんだ。誰も聞かない歌を作っているんだ。狭いアパートに戻ってくるとそこに漂うシチューの香り。彼女の最後の手料理だった。


1月7日
#twnovel 友人がスマートフォンを見せてフォロー数を自慢してきた。どのアイコンも可愛い女の写真ばかり。「モテるんぜ」って「だぜ」が言えてない時点で格好悪い。よく調べたら友人をフォローしてるそいつら全部アフィリエイター。その事実を知ってから知らずか、彼は翌日この世界を去った。


1月6日
#twnovel 随分長い旅をしてきたように思う。閑散としたホームに電車はまだ来ない。ベンチに座りながら記録手帳を開くと、そこに見つけた懐かしい駅名に情景が思い出された。「おじいちゃん」孫に、娘、美代まで。見送りに来てくれたのか。入ってきた電車に乗り込むと、それは霧の中へ消えた。


1月5日
#twnovel 寝正月を終え日常が戻った。あの人も彼女も駅員も見慣れた顔。これから一時間で小説がどれくらい進むだろう。最近は携帯電話を見ている人も多い。その光景に時代が変わったなと感じる。妻手作りのブック・カバーはもう恥ずかしいのだろうか。それでも私は本を読む。それが私の日常。


1月4日
#twnovel 「ね、このサラダの上に載ってるξは何?」「俺の特製ソース。美味いだろ?」「味はまあ分かるけど、何だかξの」「ξ? どこがだよ」「あんた嗅覚痛んでるよね。この前もξヤばくばく食ってたし」「てかお前こそ、その食い方何とかしろよ。セξモデルの名が泣くぞ」てかξって何?


1月3日
#twnovel 今年もあの人からの年賀状は無かった。もう互いに結婚して同窓会にも行かなくなり、年賀状くらいでしかやり取りをしていなかったが、遂にそれも潰えてしまった。昔色々と励まし合っただけの仲。そんなものか。と「あの」声。そこには郵便局員の男性。「久しぶり」新年の笑顔だった。

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HN:
NAGI Tsukasa WORKS
性別:
男性
職業:
不詳
趣味:
小説、妄想、読書、音楽、(料理)

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