お知らせ・小説・ツイノベ・随筆・エッセイなど
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昨日更新するのを忘れていました。
先週分(12月27日~1月2日投稿分)は番外編2編入れて9編です。
1月2日
#twnovel 初詣に行ったら元彼女が働いていた。コスプレ好きの彼女は言っていたように小さな夢を叶えたらしい。ただ俺はちょっと気まずかった。おばちゃんに注いでもらった甘酒で酔っ払うくらいには。「意外と似合ってるよ」「は?」「何?」「馬鹿?」まさか三人とも同じ神社に居るとは。
1月1日(番外編)
四次元胃袋
#twnovel 青ネズミは正月太りを憂慮した彼に「四次元胃袋」を授けた。彼はそれを付け、意気揚々と正月の食の宴に望んだ。その甲斐あってか見事彼は正月太りを回避したどころか逆に痩せてしまった。「どうしてこんなの渡したんだよ! 食べても食べても腹が膨れないじゃないか!」
1月1日
#twnovel 結局一睡も出来ずに新年の朝を迎えて、隣には昨日知り合ったばかりの女。禁煙の誓いはいきなり破られ、ベランダから見る朝焼けはちょっと空しい。「ねえ初詣行く?」一年前と何も変わってない。ただ女の名前が変わっただけだ。面倒なライタで煙草を点けると、俺は妻の名を呼んだ。
12月31日
#twnovel 今日の羽田の最終便。それが彼女の最後の言葉だ。俺は結局最後まで何も選ばずに東京の片隅でピザ焼いて終わる。一年の最後の日、俺の一番最初の客のことを思って窯に生地を入れる。焼き上がる頃にはもう最終便は空の上。と店の電話が鳴る。「ピザ頼める?」「最後の一枚でいいなら」
12月30日
#twnovel 実家が蟹を送ってきたから彼女と二人で食べていた。蟹を食べていた。蟹の脚を食べていた。蟹の手を食べていた。「あの、毎年俺と蟹、食わないか?」蟹を食べていた。蟹の味噌を少し食べた。蟹すきを食べた。雑炊を食べた。「何か言った?」その翌年。僕ら二人は蟹を食べていた。
12月30日(番外編)
やることリスト
#twnovel 人生を変える。就職。DQ9をクリア。読書百冊。ギターで1曲歌う。引越。親孝行。美味しい玉子焼きを食べる。誰かを幸せにする。……もう明日で今年が終わり。だがまだ諦めないぞ。俺は読書好きの浜村さんを前に言った。「あい・らー・びゅー……婿にしてくれ」
12月29日
#twnovel 間もなく未来へ帰る時間が迫っていたが電車はまだ来ない。「私を弄んで楽しかった?」彼女は化粧もせず起き抜けに駆けてきたのか。酷い顔だ。「結婚は出来ない」そこに電車が来た。時間だ。「お願い。乗らないで」彼女は言い淀むが続けた。「事故に遭うの。実は私も、未来人だから」
12月28日
#twnovel 年末の公園は肌寒さからか人が少ない。だから俺の天下だ、と思ってやってくると先客が居た。奴のメンチの切り方は如月流だな。こっちも不知火流で挨拶する。どっちが先に仕掛けるか。息を容易に呑めない。と、奴が突然奇声を上げる。「こおぉぉぉぉ!」ならこちらも「んちわぁぁ!」
12月27日
#twnovel 雪が降りしきる、しんとした夜。除夜の鐘の音をBGMに眠りに就いた。さあ新年と思ってついったを見ると鳩山首相がついったを始めたと話題にある。今年の干支は? 虎だよ。状況の一部を理解した俺は友達に電話して告げた。「実は今年日本がワールドカップでベスト16になるよ」
[0回]
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140字より随分と少ないものもやってみようと思わないでもないですが、いつもギリギリまで使ってしまうのは、貧乏性だからでしょうか?
今週分(12月20日~26日投稿分)は番外編2編を加えた9編です。
12月26日
#twnovel サンタ名義で届け物が来た。中には赤い衣装と「来年はお前の番だ」のメモ。更には「やらないと来年の十二月二十五日に超不幸なことが起こる」とある。さて翌年の当日、俺に何が起こったか想像してみて欲しい。 ※これを読んだあなたは別の五人に同じ内容のツイノベを書いて読ま
12月25日
#twnovel その日、サンタの家では恒例の聖夜配送業務お疲れ会が開かれていた。沢山のサンタが集まって仕事の愚痴を言い合って過ごす。今年も配送中止が多かった。そのプレゼントの山は全てオークションで転売だ。「しかし最近はどの家も防犯装置付いてて行かなくていい家増えて楽になったな」
12月24日
#twnovel 12月24日があと数分で終了。一人残業を片付けながらパソコンの前で俺は固まった。窓を開けて赤服の男が入ってくる。サンタってオチは無しだ。と思ったら後に続いて赤服の集団。「おい! お前も来いよ!」理由が分からないまま渡された赤服を着て、俺はイブの街中を疾走した。
12月23日
#twnovel 「また明日。さよなら」彼女は笑顔で別れる。それが死亡フラグと知らずに。「で、どうします?」俺の隣に来た黒服は、小さな旗を手にニヤリ。「わかった」俺はATMで貯金を下ろし百万払い、旗を折った。翌日、俺を見た彼女は「どうしてまだ生きてるの? 死亡フラグ立ってたのに」
12月23日(番外編)
彼女
#twnovel 彼女が泣いていた。彼女が叫んでいた。彼女がキスをせがんだ。彼女が顔を殴った。彼女が携帯を二つに割った。彼女が押し倒した。彼女が迫った。彼女が求めた。彼女が訊いた。「わたしのこと好き?」だがそれにちゃんと答えるにはまず目の前の彼女「たち」をどうにかしないと。
12月22日
#twnovel サンタさんへ。プしゼんとはいいません。かわいに、おとろさんとあかおさんをかエしてくださり。おねがいしキす。靴下の中のその手紙を見つけ、考える。翌日、その家には二匹の雑種犬が元気に吠えていた。保健所から引き取ってきた犬に駆け寄り息子は叫んだ。「おとろ! あかお!」
12月21日
#twnovel 募金のつもりで人生最期の宝くじを買った。一枚だけ。それが当たったと分かり、換金に向かったら別れた彼女と再会した。彼女も酷い人生だったようで、その金で一緒に暮らそうと約束した。いざ換金に向かうと組違い。手に入ったのは十万だけだ。結局、俺には右頬の痛みだけが残った。
12月20日(番外編)
月食
#twnovel あれは■が隠れてるんだよ。■は別に隠れてる訳じゃないじゃない。ただ影に邪魔されて見えなくなってるだけ。そうだけど■が隠れてるって言った方が微笑ましいだろ。じゃあ貴方は■の方が好きなの? なんでそうなる。僕ら何の話してるんだ? だから■の話です。おいでタマ。
12月20日
#twnovel 日本にお好み焼きというものがあると聞いた王は家臣にそれを持ってくるよう命じた。「使うものは小麦粉、卵、ソース、ノリ、マヨネーズ……カツオブシ」数日後。「これが、お好み焼きか」王の目の前には卵やソースやノリ、マヨネーズを掛けられた武士が大きなコテを手に立っていた。
[0回]
オチがしっかり効いているものの方が好まれるのかな、と思いつつも、心気ままに書いてしまう140字であります。
今週分(12月13日~19日投稿分)は番外編2つを加えて9編です。
12月19日
#twnovel 目の前の彼女はじっと僕を見つめ何も言わない。(違うの、ほんとはいっぱいいっぱい話したいの。あなたが好きって言いたい。でも急に来るから昼ご飯の焼きそばの青海苔が付いてたら困るし、キスなんて出来ないから口開けないの!)「ごめん。僕、餃子食べたからきっと臭いんだね」
12月18日(番外編)
ブラックバス
#twnovel ブラックバスがレッドリストに! その記事に時代は変わったと感じる。遺伝子操作でマグロ味に改造されたブラックバスは乱獲が響き、今では希少種指定。「かつては嫌われ者だったんだぜ」そう言うと息子は「こんなに美味しいのに?」と冷凍ブラックバスをぱくついた。
12月18日
#twnovel 「隣の翔子ちゃん結婚するんだってね」「どこ情報だよそれ。ソースはあんのかよ!」「何言ってるの。あんたの前にあるじゃない」「ウスターじゃねえよ」「じゃあ」「おたふくでもねえ」そして渡されたデスソースをたらふくかけた海老フライを口に……やっぱり出来なくて俺は泣いた。
12月17日
#twnovel 俺はどんなシステムもすり抜けるその世界で知られたクラッカー。今侵入しているのは彼女の携帯端末。出会って一月だが進展が無い。女子校育ちのお嬢様大学生のガードを崩す物でも見つかれば……え。そこには男の名前と年齢と職業がずらり。俺のも。要人ばかり。彼女はスパイだった。
12月16日
#twnovel 自分の漫画が条例に違反しているからと編集者から書き直しの依頼があった。だが断る。ある日書店で自分のその本が普通に本棚に並んでいるのを見た。表紙のタイトル以外が黒塗り。購入して中を開くと一部を除いて全てが黒塗り。唯一残されていたのは抗議の意味で載せた条例の全条文。
12月15日
#twnovel 韓国では初雪は恋人が一緒に過ごす大事なイベントらしい。目の前でちらつき始めた雪に私は遠距離の彼に電話をする。「あ、智紀。うん。初雪だよ。智紀が降らしたって? 馬鹿。そっちは苦労も不幸も無いんでしょ? いつか私も……」空を見上げた。彼の白い贈り物は温かい気がした。
12月14日(番外編)
流星群
#twnovel 今夜はふたご座流星群が極大になる。でもおばあちゃんは白内障で見られない。更に曇り空。私はじっと空を眺め、見えたら教えてあげようと思ったのにやっぱり見えない。「ごめんね」と言うと、おばあちゃんは「わたしにはちゃんと見えてるよ。今お前が流した優しい流れ星が」
12月14日
#twnovel 昨日は忘年会だったが今日は社の忘年会だ。学生時代から何かと騒ぐことが好きだったが、社会人になると本当にこういった場が増える。飲み会サイコー! って叫んだら次の瞬間、隣にゴミ箱が寝ていた。俺は時計を見て慌てて出社したが、会社に席が無い。「先月首に……」忘れていた。
12月13日
#twnovel 選択肢を「別れる」にしてボタンを押す。それだけの簡単な作業。彼の戯言は全て早送りでスキップ。その泣き顔が怒りに変わり更に優しげに笑っても、送り続ける。やがて彼が画面から消えてしまうと、急に襲ってきた空しさに慌ててリセットを探した。でもどこにも無い。もう戻れない。
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140文字の中に小さくてもいいから、何か世界を表現出来れば、なんて考えることもあります。
今週分(12月6日~12日投稿分)は7編です。
12月12日
#twnovel それは線香の匂いのする栞だった。おそらく祖母のもの。自分の本棚でそれを見つけ、驚きながら僕はその本を抜き出す。「サバイバル・ハンドブック」これを祖母が。開いたペイジは山中での生き延び方。慌てて僕は帰ってきた両親に言った。「ばあちゃん生きてるって。姥捨て山で!」
12月11日
#twnovel 「ケーキ作り過ぎちゃって」と、そこには山積みの箱。彼女に言われるまま車に積み込み「あ、ども」よく知らないおじさんとおばさんに頭を下げ、運転して近所を回る。帰ってきて「俺のケーキは?」「これから幾らでも食べられるじゃない」四人一緒に収まった写真は後の家族写真。
12月10日
#twnovel 今年の漢字の発表の時。リポーターは緊張気味にそれを見守る。彼は有名な書家で、その書はローマ法王に献上されたとか。「出来ました」一仕事終えた彼は額を拭ったが、一同は言葉を失う。「これは?」「※です」え? 仕方無い。リポーターは彼が知る一番難しい字を答えた。「鬱」
12月9日
#twnovel 空港の身体検査に全身スキャナが導入され、妙な噂が世間で囁かれていた。それは地球人の姿をした宇宙人が意外と多く紛れ込んでいた、というもの。私はこの列の何人かはそうなのかと思いながら進んでいると、頭を綺麗に剃った恐い男二人組が。「いや、俺宇宙人じゃない。ないって!」
12月8日
#twnovel 姫の白い首筋に当たるナイフに、誰もが動けない。私は婚約者を傷つけない為に身代わりを申し出る。「王子!」私は大臣の手を振り解く。もう迷いは無かった。姫を放し、アルフレドは私に向き直る。「いいんだ、アル。もう我慢しなくて」姫も兵士たちも驚く中、私はアルと熱い抱擁を。
12月7日
#twnovel 目が覚めたら彼女の携帯ストラップになっていた。彼女は電話する時にストラップを弄る。アートされたネイルは私を中毒にさせかねない強烈な臭いを放つ。ポーチの中に閉じ込められると戻しそうだ。でもこれは夢。ただの夢だから。目が覚めたら今度こそ彼の携帯ストラップになるんだ。
12月6日
#twnovel ブザーが鳴った瞬間、俺の指はバスケットボールを離した。それは綺麗な虹のアーチですっとゴールに吸い込まれる。深呼吸の静寂の後に湧き上がる歓声。そして俺は憧れのマネージャに告白するんだ。「え? 何?」彼女がこっちを見て何か怒鳴っている。「まだ第4Q残ってるでしょ!」
[0回]
140文字で楽しんでもらったり、何か考えてもらったり、出来るようなものが作れていれば良いのですが、と思いつつ。
今週分(11月29日~12月5日投稿分)は7編です。
12月5日
#twnovel 「一緒の檻に獅子と虎と狼を入れたら誰が生き残った?」日曜の午後にする彼女の質問はいつもくだらない。でも答えないと怒る。だから「違うよ」「違う」「それも違う。もう勇太は私のこと何も分かってない!」それから一時間彼女の不満と愚痴が続く日曜の午後。「それで……答は?」
12月4日
#twnovel ある日太陽は空に昇るのを止めた。変わらない毎日に飽き飽きして、たまには休むのもいいかと考えたのだ。その日から世界は暗闇に閉ざされた。星の輝く空は綺麗で、植物は人工光で育つ。必要とされなくなった太陽は忘れられた。だがその他にも人々は忘れた。「ねえママ。朝って何?」
12月3日
#twnovel 「待ってるから」あの馬鹿にそう言ってからもう四十年。私は未だこの町を離れずにいる。独り身でいるのは、こんな草臥れた飲み屋の女を口説くもの好きは情婦持ちくらいだから。待つことに終わりは無い。ドアベルが鳴る。入ってきたのは、あの日のまだ人生を知らない少女の幻想。
12月2日
#twnovel パトカーのサイレンが駆け抜けて行った。男は気にせずコーヒーを飲み、読書に耽る。店内で覆面男がナイフを振り回して喚いても気にせずペイジを捲る。何だか警官が沢山入ってきたが気にせず。机の上のカップが割れても気にせず。逃げ出したウェイトレスが転んでも気に……黒か。
12月1日
#twnovel この町に初めての雪が降った。それをとても息子は喜んだし、他の人たちも楽しげに空を見上げていた。けれど翌日、その翌日と降り止まないのを目にして、人々のそれは恐怖へと変わった。直ぐに私の元に訴状がもたらされ、今度は「雪を消して欲しい」だと。人間とは本当にいい加減だ。
11月30日
#twnovel 毎回見た目も雰囲気も全然異なる男と付き合う親友の彼女が、ある日わたしに告白した。「実は私、匂いフェチなの」それで見た目や性格じゃなく「匂い」で彼氏を決めてきたという訳か。納得したわたしに寄り添い、彼女は何故か匂いを嗅いで恍惚の表情。「実はもう一つ告白があって」
11月29日
#twnovel 飲み会の帰りの朝焼けが綺麗だと思っていたら、それは「夕焼け」だと隣の知らない女に指摘されて、何がどうなってんだ? /自分が誘拐されたことに気づいてない馬鹿息子の身代金を考えていたら「それもういいわ」とボスに言われて扱いに困っている。非常に遺憾である。
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やはりSSタイプの140文字の方がいいのな、と思いつつも、そうでないタイプのものも作ってしまいますが。
今週分(11月22日~28日投稿分)は7編です。
11月28日
#twnovel 「ごめんね」彼女は笑顔で俺に手錠を掛けた。プレィかと思ったら「これ一生外れないから」と宣う。「どうすんだよ?」「結婚するって言ったじゃん」確かに。だがそれはSM嬢とのやり取りで。と彼女の表情が豹変した。「おめぇはあたしさ言うこと素直に従えばええんじゃ!」はい。
11月27日
#twnovel 「珈琲とアイスティー、それに日替わりケーキを」彼は私の分まで注文を済ませ「さ、話そうか」と。そんな必要無いのに。「必要無い? でも、言いたいんだろ?」彼は他人の心を悟る。「じゃあ何故別れたいか悟って」彼は困った顔。きっと私が占った二人の暗い未来を知ったのだろう。
11月26日
#twnovel 「ねえお兄ちゃん」上目遣いで「えへ」って微笑む女が俺の手を引っ張ってどこかに連れて行く。俺はいつから可愛い妹を持ったのだろうと考えたが「お兄ちゃん」と呼ばれる度にどうでもよくなり、着いた先は「コスプレ喫茶」。そこは俺のような大きなお兄ちゃんたちで溢れ返っていた。
11月25日
#twnovel 幼稚園に通う息子がまた妙な呪文を覚えて先生たちを困らせたらしい。でもどんな呪文か息子は教えてくれない。ある休日、デパートに出掛けると息子は派手な格好をした若作りの女性を指差し「りあじゅうばくはつしろ!」と唱えた。それは私が夜な夜なネットで呟いている言葉だった。
11月24日
#twnovel 「旅に出る」そう言って妻はキャリィバッグを抱え出て行った。後には三歳の息子と私だけが残された。仕方なく息子の世話をしながら洗濯に家の掃除、ついでに車も洗ってやる。息子と日向ぼっこしていると帰ってきた妻が一言「飯」と。半年後に出た新刊はどうやらローマが舞台のよう。
11月23日
#twnovel その本には全てのことが書かれていると言われていた。けれどどこを見ても私のことは一切書かれていない。だから何でも知るという賢人に尋ねた。私は何者なのかと。賢人は答えた。「あなたのことは誰も知らない。何故なら、あなたは誰もが探し求めているものだからだ」私の名は幸福。
11月22日
#twnovel 指輪を失くしたと妻が泣いた。大病を患い痩せた指から抜け落ちたのだ。私は折角だからと妻をデートに誘った。二十代の頃と同じようには回れなかったが、それでも一緒に食べたソフトクリームの味は変わらない。その最後、私は妻の指に新しい指輪を嵌め「また夫婦になろう」と笑った。
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140文字という制限の中で、出来るだけ様々な種類の話を作りたいと思っています。
今週分(11月15日~21日投稿分)は7編です。
11月21日
#twnovel 「痴漢!」そう言って僕の手を取ったかつての教え子は駅の外に連れ出し、金をせびった。彼女は金が無くなるとまた現れ、痴漢したことをバラすと金を無心した。その際何故か他の女と付き合うなと約束させられた。訳が分からない。「痴漢してないよな?」妻はそ知らぬ顔でキスをした。
11月20日
#twnovel 「泣き方を忘れた」と君。「じゃあ泣かなくていい」と僕。でも君は泣きたいと譲らない。それから一時間二人で泣き方について話し合った。別れる二人にとって奇妙な一時間。結局目薬を買って来てそれで涙を作った彼女は別れ話の途中で吹き出して、二人はもう少し別れないことにした。
11月19日
#twnovel 転勤で引越の為に部屋を片付けていたら、小学生の時に書いた『将来の夢』って作文を見つけた。何が書いてあるかと思ったらマイホームに可愛い奥さんに子供は三人で犬は絶対飼うとか、情けないくらいに平凡。僕は破いた辞表をゴミ袋に入れ、引越先はペット可かどうか調べ始めた。
11月18日
#twnovel クリスマス化粧が施されたガラスケイスを横目に俺は先を急ぐ。彼女にどうやってイヴは無理だと伝えようか悩んでいた。初めてのクリスマスだけに楽しみにしているからな。だが無理なんだ、どうしても。「遅い」「ごめん。あのさ」俺の仕事はサンタなんだとは口が裂けても言えない。
11月17日
#twnovel 今日は車内がやけに込み合っている。ゆっくりと発車した電車を撮影する人の群れがホームに沢山。有名人でも乗っているのだろうか。今日はこれから生まれ故郷に帰る。新しい仕事が見つかればいいけど。車掌が最後の駅名を告げる。仕事を終えた僕に車掌が「ご苦労さん」と言った。
11月16日
#twnovel 何度も洗ってくったりとした人形は今日遂に首が取れた。パパは新しいのを買ってやると言うけど、同じものが手に入らないのはもう分かっている。だからその首を接着剤で固め、私は眠る。でもその内にやっぱり首がもげて結局捨ててしまった。もうママはいない。新しいママも要らない。
11月15日
#twnovel スイーツが好きという彼の為にせっせとお菓子を作る。将来はケーキ屋さんと書いた夢を叶えた私は、きっと幸せ者だ。「この前の彼? 別れちゃった。今入院してるって」「じゃあ、今佐藤さんてフリー?」「うん、そうだけど」「じゃあ付き合わない?」「いいよ。甘い物好きだよね?」
[0回]