140文字の中に小さくてもいいから、何か世界を表現出来れば、なんて考えることもあります。
今週分(12月6日~12日投稿分)は7編です。
12月12日
#twnovel それは線香の匂いのする栞だった。おそらく祖母のもの。自分の本棚でそれを見つけ、驚きながら僕はその本を抜き出す。「サバイバル・ハンドブック」これを祖母が。開いたペイジは山中での生き延び方。慌てて僕は帰ってきた両親に言った。「ばあちゃん生きてるって。姥捨て山で!」
12月11日
#twnovel 「ケーキ作り過ぎちゃって」と、そこには山積みの箱。彼女に言われるまま車に積み込み「あ、ども」よく知らないおじさんとおばさんに頭を下げ、運転して近所を回る。帰ってきて「俺のケーキは?」「これから幾らでも食べられるじゃない」四人一緒に収まった写真は後の家族写真。
12月10日
#twnovel 今年の漢字の発表の時。リポーターは緊張気味にそれを見守る。彼は有名な書家で、その書はローマ法王に献上されたとか。「出来ました」一仕事終えた彼は額を拭ったが、一同は言葉を失う。「これは?」「※です」え? 仕方無い。リポーターは彼が知る一番難しい字を答えた。「鬱」
12月9日
#twnovel 空港の身体検査に全身スキャナが導入され、妙な噂が世間で囁かれていた。それは地球人の姿をした宇宙人が意外と多く紛れ込んでいた、というもの。私はこの列の何人かはそうなのかと思いながら進んでいると、頭を綺麗に剃った恐い男二人組が。「いや、俺宇宙人じゃない。ないって!」
12月8日
#twnovel 姫の白い首筋に当たるナイフに、誰もが動けない。私は婚約者を傷つけない為に身代わりを申し出る。「王子!」私は大臣の手を振り解く。もう迷いは無かった。姫を放し、アルフレドは私に向き直る。「いいんだ、アル。もう我慢しなくて」姫も兵士たちも驚く中、私はアルと熱い抱擁を。
12月7日
#twnovel 目が覚めたら彼女の携帯ストラップになっていた。彼女は電話する時にストラップを弄る。アートされたネイルは私を中毒にさせかねない強烈な臭いを放つ。ポーチの中に閉じ込められると戻しそうだ。でもこれは夢。ただの夢だから。目が覚めたら今度こそ彼の携帯ストラップになるんだ。
12月6日
#twnovel ブザーが鳴った瞬間、俺の指はバスケットボールを離した。それは綺麗な虹のアーチですっとゴールに吸い込まれる。深呼吸の静寂の後に湧き上がる歓声。そして俺は憧れのマネージャに告白するんだ。「え? 何?」彼女がこっちを見て何か怒鳴っている。「まだ第4Q残ってるでしょ!」
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