出来る限りぎゅっと詰まった140文字を描こうと心掛けていますが。
今週分(11月8日~14日投稿分)は7編です。
11月14日
#twnovel 「タイムアップよ」彼女はそう言って俺の股間から手を退かした。追加料金を払う? という彼女の誘い文句に思わず財布に手が伸びたが、これ以上空しい行為を続けるのもどうかと思い、やめた。「一つだけ訊かせてくれ。何故俺の父と結婚を?」「もう子供は要らないって言われたから」
11月13日
#twnovel 「絶対笑わせてやる」そう言い残した犯人を追ってやってきた地下の一室に突入した。だが誰もいない。そこには「遅かったな」という書置き。と、部屋にガスが噴射された。「毒ガスか」やられた。ここは地下だ。捜査員は一網打尽。そう思った瞬間、誰かの笑い声。「笑いガ……ぎゃはは
11月12日
#twnovel 毎日帰るのが一緒になる女子学生がいた。彼女はいつも私の後ろを同じペイスで歩き、私の家の前を通り過ぎて行ってしまう。ずっと気になっていたが、ある日、彼女が何か落として行ったことに気づいた。拾い上げたそれは小さな螺子だった。翌日から彼女の姿は二度と見かけなかった。
11月11日
#twnovel その島は木も草も鳥も虫も、全てが硝子で出来ていた。当然生きているのは私だけ、三日とせずに食料は尽きたから、ここは私の墓になるのかな、綺麗かも知れないと思ったけれど、その内に食べなくても平気になった。太陽の光を浴びて一日ぼんやりと過ごす。もう一生このま、ま、でもい
11月10日
#twnovel 画面には沢山の「死ぬな」の文字。でもその中に確実に混じる「死ね」が私の背中を押してくれる。誰も本気じゃない。ここにも、画面の中にも本気は無い。けど一度台に上がったら降りられない。その時インタフォンが鳴る。届け物。中には野菜と大量の缶詰。『いつでも帰ってこい。母』
11月9日
#twnovel 首筋を通る風が冷たくて冬衣装で出てこなかったことを悔いたが、孫の勇は半ズボンで手にススキ。好きな芸能人の真似らしいが「昭和」とあだ名されているのは可哀相にも思う。その勇が急に道端にしゃがみ込む。「大丈夫かい?」近づいてみると勇は小さなドングリを見つめ「秋だ」と。
11月8日
#twnovel 目の前で彼女が他の男とキスしていた。僕は手にしていた蜜柑を思わず落としたけれど、二人は止めない。構わずに愛の交換を始め、僕は落とした蜜柑を拾い上げた。蜜柑は既に腐っていて、僕は互いを曝け出している二人に割り込んで「蜜柑をどうぞ」と手渡す。蜜柑は彼女の好物だった。
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