たった140字しかないので、表現としてどこに重きを置くか(オチ、文章、雰囲気、人間、心情など)にいつも苦慮しています。
今週分(9月6日~9月12日投稿分)は番外編1編合わせて8編です。
9月12日
#twnovel 彼女は父親を食っていた。その傍らには母親の残骸。「もうやめろ」獣のように太った彼女は血の涙を流す。「デモ、貴方ヲ食イタク無イ」それでも彼女を抱き締める。暴走した遺伝子研究の末路。その責任を取る為だ。彼の腕を食い千切り、刹那彼女は呻く。彼の体にはアンチ遺伝子が。
9月11日
#twnovel 宇宙空間を漂っていた。切れた命綱の先に希望は見えない。もう終わりか。と、目の前に昔の自分が現れた。走馬灯か。手にロケットの玩具を持ってこの頃から宇宙船乗りを目指していたんだな。だがそいつはにっと笑い、膨らんで……宇宙人になった。そして巨大な宇宙船が現れ、私は……
9月10日
#twnovel 文化祭を明日に控えた教室でユナは私に手紙を渡す。「何これ。ラブレター?」「中峰君に渡して」「自分で渡せば?」でもユナは寂しく笑う。秀才中峰のどこがいいんだ。「マキだけが頼りなんだ」翌日ユナは学校に来なかった。/ユナは今日もマキを待つ。文化祭を明日に控えた教室で。
9月9日
#twnovel 「生徒会長に当選したよ」流石うちの息子ね。あの人に似て人望があるわ。「やっぱり父さん凄いね。言った通りにしたら得票率八割だよ」何かコツを教わったのね。その時電話が鳴った。あの人の秘書だ。TVを点けろと言う。『有権者に協力金を配った疑いで金田議員が逮捕され……』
9月8日
#twnovel 分厚い推理小説を読んでいたら姉が「それ叙述トリックよ」と言って通り過ぎた。僕は自室に移動しベートーベンを流しながら続きを読み耽る。と姉が入ってきて犯人は誰で本当は主人公は女でとか言い出すから「違うんだ」と表紙を剥ぎ取る。そこに現れたタイトルは『生意気な姉の蜜壷』
9月7日(番外編)
スパムメイル
#twnovel 「55歳でもいいですか?」徐々に年齢が上がる迷惑メイルはついに「120歳なんですけど、主人がいなくて寂しいの」ここまできた。冗談の領域だろうがつい気になって返すと返事があった。「暫く家に置いて下さい。年金はありますから」翌日、乾燥した遺体が届いた。
9月7日
#twnovel 彼女がプランターに楽しそうに水をやっていた。「何植えたんだ?」「喧嘩の種」「育ててどうすんだよ」「だって喧嘩するほど仲がよくなるもん」「俺は金の成る木がいい」「それだとあんた働かないでしょ。今でもヒモみたいなのに」「んだと?」どうやら順調に種は育っているようだ。
9月6日
#twnovel 十年前にタイムカプセルを埋めた日は風邪で休んで友達に頼んだんだっけ。円筒形の箱からは次々と思い出の品が出てくる。「あ、これ篠田君の」池野さんに渡されたビニル袋の中身。渡した覚えの無い手紙。「すきです。いけの」僕は結婚して池野となった彼女の旦那を見た。あいつが。
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