7月4日~10日投稿分のTwitter Novelです
2011.7.10.sun
#twnovel ギターを掻き鳴らした。嬉しい時も悲しい時もギターを掻き鳴らしていた。「君いいね」グラサンの男に声掛けられた夜もギターを掻き鳴らしていた。「今日で俺たち解散するぜ、宜しく」満員の武道館でもギターを掻き鳴らしていた。「担担麺おまち」今もギターを掻き鳴らしている。
2011.7.9.sat
#twnovel 海に行こうと言う彼女に「放射能どうすんだ」と言い訳する俺。不機嫌なのは暑さの所為。働かないのは不景気の所為。付き合っているのは「惰性」そう言いかけて彼女の俯いで陰で隠れた顔に、「やっぱ海行く」と言うと「放射能どうする?」って。「ゴジラになる」「着ぐるみの仕事?」
2011.7.8.fri
#twnovel 梅雨明け宣言の声を待ってましたとばかりに声を張り上げた君とは、約一年ぶりの再会になる。でももう以前の君じゃ無いってことは本当は知っていて、だから君の声にちょっと切なくなるんだろう。それとももう君の命が長くないって知ってるからかな。今日も君の声が響く、ああ蝉時雨。
2011.7.7.thu
#twnovel 短冊には何も書いてなかった。息子にそれを尋ねると「ちゃんと書いてある」と言う。だが何度見ても白紙にしか見えないから教えて欲しいと言うと、内緒だよと息子は虫眼鏡を渡す。それで見ると「ママと先生がうまくいきますように」と。「え? 今日遅くなるって言ってたのは……」
2011.7.6.wed
#twnovel 駅前で観客のない中懸命に歌うギター弾きに私は百円硬貨を投げ込んで立ち去る。彼の十年後はメジャー歌手だ。般若心経を唱えながら物乞いをする乞食に五百円を投げ入れる。彼は二十年後この国の首相。自分の未来は一秒先すら分からない。でも生きることを辞めたら何者にもならない。
2011.7.5.tue
#twnovel 赤ずきんちゃんは大人になり、腰を痛めて入院した母の見舞いに向かう。途中悪い男に声を掛けられたが、彼女が背中を見せるとすっと立ち去って行った。「お母さん」「悪い男に引っかからなかった?」「大丈夫よ。わたし、子供じゃないもん」背中全面に入れた髑髏のタトゥが笑った。
2011.7.4.mon
#twnovel 午後からまた嵐だそうだ。今ラジオの天気予報がそう告げていた。腰を上げた彼にそれを告げると私は彼の小指を握る。雨宿りはいつだって二人の口実で、天気予報の低気圧に一喜一憂する私は、本当は馬鹿だって分かってる。それでも彼にもう少しだけ雨宿りして欲しいと願うのだ。
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