4月4日~10日投稿分のツイノベです。
4月10日
#twnovel 彼女は海の近くで暮らしたいと言う。僕は日光は苦手だと反論する。いつだって問題は別のところに転がっていて、喧嘩の種はそこら中に見つかる。「結婚なんて考えなければいいのに」でもそれ以外の愛の示し方を知らない。吸血鬼は人魚にはなれない。「血、飲む?」と彼女は笑った。
4月9日
#twnovel 「そろそろ殉職するか?」刑事ドラマに出演して約一年。台本には仲間に撃たれて死ぬと。撮影当日「何故お前が!」バン。脇腹から派手に飛び散る血糊。だが俺はもだえながら応戦した。「絶対死なねえ」何とか無理矢理殉職のシーンを乗り切った。それから一月後ドラマが打ち切られた。
4月8日
#twnovel この家を買った時に庭に植えた桜は花をつけなくなった。離婚届を用意してこの家も売り払うつもりだから別に構わないけど。「どうして咲かなくなったんだろうな」「あなたが浮気で忙しかったから」「おい」いつも口論。最後くらいと互いに手を握る。見ると桜が一輪だけ、咲いていた。
4月7日
#twnovel 持ち出したのはこのギター1本だけだった。他には無い。免許証も財布も、売れ残りのCDも。全て瓦礫の下。避難所では不謹慎だと言われるから、適当な瓦礫の山に腰掛けてギターを弾く。自分の名前も、悲しみも喜びも全て忘れてしまってもよかったけど、音楽だけは忘れたくなかった。
4月6日
#twnovel 彼が楽しそうに家の模型を作っていた。私には夫の趣味なんて理解出来無いけど、落ち込んで酒を飲んでた頃よりマシだと思う。新しい家は綺麗だけど、綺麗過ぎて落ち着かない。「出来た」それは壊れたあの家だった。「思い出は腐らないだろ」模型に鼻を近づけると、接着剤臭かった。
4月5日
#twnovel 悲しいニュースが毎日流れる。もう感覚が麻痺して数字にも「死」という単語にも特別な感慨は持てない。募金箱に釣銭を入れ、停電してない家に帰ってほっと一息。携帯にはバイト先で仲良くなった女子からメイルが届いていて、今度一緒に遊びに行こうって。僕はその日常を削除した。
4月4日
#twnovel 「恋よ」と君が言うから行ってみたら「寂しいよ」と泣くから抱き締めて「優しいよ」と困るから離れて「酷いよ」と怒るからまた戻って「分からないよ」と不機嫌だから説明すると「言葉ばかりだよ」と非難するから「さよならだ」と別れて。久しぶりの電話の声は「愛」たいよ。
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