始めてから何とか毎日続いていますが、140字という制限の中で何かを表すというのは結構大変ですね。
今週分(7月26日~8月1日投稿分)は7編です。
8月1日
#twnovel 「間違ってんじゃない?」僕らは海を目指していた。ナビは快調に知らない地名を示している。「やっぱビニキがよかったかな」空は暑く、開けた窓から温い風が舞い込む。「カキ氷最期に食べたかったな」着いたよ。降りた彼女は「何よ、馬鹿」。自動操縦の車が連れてきたのは産婦人科。
7月31日
#twnovel 傘を取られた。ゲリラ豪雨だ。彼女の約束に遅刻だ。電車は止まった。財布を忘れた。駅員に捕まって、事情を説明して、解放されたら夕焼け。宗教の勧誘、キャバクラの客引き、いつもの飲み屋はいっぱいで、寂しい背中はずぶ濡れで、客を見送るホステス=彼女で「傘いる?」それ俺の。
7月30日
#twnovel 父親の遺品を整理していたら、変色している封書を見つけた。恋文だ。親父がなあ。どうやら若い頃、相手に渡せなかったものみたいだ。私は相手を探し出し、それを無事に届けてあげた。翌日には電話でお礼があって、相手のおばあさんはとても恥ずかしそうに「わたしでよければ」って。
7月29日
#twnovel お前がいなくなってから愛の意味を尋ねるのは間違っているかも知れない。だが一月経った今でもまだ喪失感から不眠が続く。世の中にはペットロス症候群なる言葉があるそうだ。俺も同じだった。だから代替物でいい。俺は求めた。「あなた、これ何?」妻の足元には真新しい抱き枕。
7月28日
#twnovel 吹き上げた風は崖からそれを浚っていった。荒れた海はどんどん近づき、水飛沫は一瞬で見えなくなる。出会わなければ良かった、とは思わない。互いの名前も体に刻んで、なのに熱は急速に冷めた。「もう合わないんだ」それが最後の言葉だった。沈みゆくこのプラチナは錆びないのに。
7月27日
#twnovel 「帰るね」そう言って彼のアパートを出ようとしたら雨音。空は雷までおまけで鳴らして、彼を見た私は苦笑を浮かべるしかない。最後まで間の悪い私たちは、ぽっかり空いた溝を埋める方法を、試さなかった。「宅急便です」それは指輪だった、前の彼女の。「あのさ」声は漸く重なった。
7月26日
#twnovel まだ昼間の熱気が道路の上から退かない。今日も何人もとすれ違ったが、誰一人私に声なんか掛けない。理由は分かってる。体を抜ける風は温かい筈なのに、冷たいね。キャミソールにミュールで涼しげな彼女みたいに、私も着飾ればいいのかな。でもショップの窓に映ったのはただの骸骨。
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