5月23日~29日投稿分のツイノベです
2011.5.29.sun
#twnovel それは悪魔との契約だった。私は望み通り彼女を手に入れて結婚した。娘が一人生まれ、その子は成人するとハーフの彼氏を連れてきて結婚したいと言った。私はそれを許した。何故なら彼もまた私と同じ悪魔だったからだ。私と契約したこの男はって? きっと今頃地獄で働いてるよ。
2011.5.28.sat
#twnovel 「公衆の面前で好きとか愛してるとか云う奴、恥ずかしいよな」そ、そだね。「だってそれ、精神的に裸になって他人に見せびらかしてるってことだし」そこまで言わなくても。「でも告白ってそういうことなんだと思う」だから何?「お前恥ずかしい奴になっていいんだぜ?」お前がなれ。
2011.5.27.fri
#twnovel ある研究者が世界中から「愛」という言葉を集め、それを一つの部屋に閉じ込めた。その中から、一番価値のある「愛」を見つけようとしたのだ。けれど「愛」は口から出た瞬間に消えてしまうらしい。それで悩んでいた彼に、妻が微笑してこう教えた。「わたしの名を呼んでごらんなさい」
2011.5.26.thu
#twnovel わたしの一部が立ち止まった。「どうしたの?」「忘れ物」そういったけど、わたしは何も持ってない。でもわたしの一部はしゃがみこみ、そこから動こうとしない。わたしはその手を引っ張った。「行こうよ」「行けないの。わたしは、昨日のわたしだから。思い出を抱えて、ここにいる」
2011.5.25.wed
#twnovel 「トビウオって空が飛びたかったのかな」沖まで出してきた船のエンジンを切ると、彼女はぽつりとそんなことを言う。「俺はさ、ただ太陽が見たかっただけだと思うんだ」いつも意見の合わない俺らは、それでも心中しようとしている。「太陽、見せて」俺たちは心中をやめ、体を重ねた。
2011.5.24.tue
#twnovel ラブソングの女王と呼ばれた私が一切曲が書けなくなった。ネタギレとか失恋とか週刊誌には色々書き立てられたけれど、どれも違う。確かに私は恋をしていた。それも今までにない。「ちょっとおねーちゃんうるさい」私は妹の抗議にボリュームを絞る。ヘビメタってなんて素晴らしいの。
2011.5.23.mon
#twnovel ピアノが鳴っていた。それは彼女がよく弾いた、とても悲しいメロディ。だが彼女は今ソファに横たわり、血を流して眠っている。じゃあ誰がピアノを? 私? 否、私は彼女を迎えに来たただの死神です。他には誰も。鍵盤の上では彼女の白い手首だけが楽しげに踊り、音楽を奏でていた。
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