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凪司工房の徒然

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西の魔女が死んだ(新潮文庫)―West Witch has Gone By NASHIKI.K―

児童文学……というと、何やら子どもの頃に読んだ、彼や彼女が主人公の本の事を
思い出されるだろうか?

でも、童話がそうであったように、決して、児童文学も子どもたちの為だけのもの
では無い。

今回はそんな本のお話。

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思春期特有のものって、何を思い浮かべるだろうか。
ひょっとしたら、今増えている(と言われている)不登校も、そんな思春期の
一つの形なのかも知れない。

大した理由が無くても、学校に行きたくない。そんな時も在る。
いや、理由なんて、ほんとは後から付いてくるものなのかも知れない。

これは主人公の中学生・まいが過ごした、初夏の物語だ。

西の魔女。
まいのおばあちゃんの事を、そんな風に呼ぶ。
魔女。魔女……。

本当に見た目にはっきりと分かるような、箒に乗って空を飛んだり、
妖しい薬で烏や梟に変身させたり、する訳じゃ無い。
でも、よくよく考えてみれば、昔のおばあちゃんっていうのは、そういう何か
子どもたちの知らない事を沢山知っている、正に魔女のような存在だったのでは
無いだろうか。

真っ直ぐに頑張って歩き続けてきた人には見えない。
そんなものを、知っている……魔女。

まいは魔女から、前を見るだけでは見えてこないものを教えられる。
もちろん、これはこうだ、とか、これはこういうものだ、とか、そんな知識じゃ
無い。自ら知る、という事。草花の名前、形、匂い、色。季節の輝き。自然の厳しさ。

ママからじゃ教わることの出来ない何か。
まいは其れを学んだのだろう。
こういう風に思春期の大切な時期に、大切な事を学べる、というのは、本当に
幸せな事だと思う。
でも、思春期のただ中に居る時には、分からないものだ。

大人に成ってから児童文学なんてものを読むと、そう感じる。

出来れば思春期に読んでおきたかった。
けれど、遅すぎる、という事は無いのだ。
人間は思い出す事が出来る。
そして、何度も学ぶ事が出来る。

此の本そのものが、それこそ「魔女」のようなものなのかも知れない。
ささやかな忘れ物を、思い出させてくれる。小さな魔女。
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